人間性疎外と企業の民主化

人間性疎外と企業の民主化

会社をより質の高いものにするためには、企業の合理化と人間の管理が必要とされる。

近代的生産において、広義の機械化による合理化が行われてきた。

その結果、労働の節約のために解雇の可能性が生じ、大衆化による個性の喪失、拘束化による自由の喪失により人間性の疎外が必然的に表面化した。

人間性の疎外には主に①所有物、②作業、③職場、④作業者の疎外が存在する。

①は手足の延長であった道具を、個人的所有が不可能な機械という独自のメカニズムによるものに変えることによる所有物による疎外。

②は部分作業を製品商標とし、完全作業を銘柄とする機械による作業による疎外。

③は生活空間(内在的空間)であった職場を、手段空間(外在的目的)に変えることによる職場による疎外。

④は人的結合関係に関するもので、家族などを含む全人格とゲマインシャフト(人間に本来備わる本質意志によって結合した、実在的・有機体的統一体としての社会)を結合し、会社とゲゼルシャフト(人間に本来備わる本質意志によって結合した、実在的・有機体的統一体としての社会)を結合することによる、作業する人間の疎外である。現実的な人間関係において、利益体制より共同体制が大きい社会を、共同体制より利益体制を大きくする社会に変えるものである。

そのような人間性の疎外への対応は、人事管理つまり人力の機械化の精練化を行うことが重要である。それは適材適所主義、職務拡大、職務充実による一定の個性の回復と、コミュニケーション独裁制を民主制にすることで、一定の自由を回復させることである。

また、狭義での労働管理企業の民主化も疎外への重要な対応である。人力の所有者が、福利や労使関係の管理を重要視することが必要であると言える。

そこに残る課題として、自由の疎外からなる所有物疎外であり、克服策として集団主義的な自己意識の形成、つまり共同体化が挙げられる。

またそこに残る諸問題として、共通の誇りをもつための基盤整備が必要であることが挙げられる。また、労働者の生活の安定を重視し雇用の保障、労働条件の適正化、福利厚生の充実などを重視し、失業の可能性を下げる必要がある。

さらに拘束労働と自由労働の安定化から間接的に、労働者に経営に参加してもらう人間性の要求が必要である。

そのように労働者が経営に参加することで、企業中心主義である野党的立場を企業の存在を発展させることに繋げる必要がある。

以上のようなことから最終的に企業の合理化(機械化)と企業の民主化(共同体化)を相対的に発展させる必要があると言える。